野球部だった学生時代、足腰を鍛え体力も付ける走り込みは練習の中でも基礎中の基礎。
とはいえ、辛い時間が続く長距離はやっぱり苦手だった。
でも、その当時の野球部には年明け恒例の「絶対に歩いていはいけない20キロマラソン」があり、そりゃもう大変。
普段走ってる3、4キロとは違い、ペースも分からない慣れない距離に加え、目的地の場所の名前は知ってるけど行ったことも無ければ行き方も分からず、1年生のときは、行き交う人たちにルートを聞きながら走るってスンポー。
その過酷さに途中からは意識も遠のき幻覚が見えてくること請け合い。
砂漠でありがちなオアシスの蜃気楼のように現れる給水所。
道路脇で旗を振りながらエールを送るオーディエンス。
中には真剣に応援してくれている人もいれば、家族に無理矢理連れてこられたけど、興味が無いから、ひたすらゲームボーイをしているボイズンガールズ。
でもって、当時流行っていたソフトはドクターマリオ。
マリオさん、普段は土管に入ったりカートやったりとアクティブなイメージが強いから、てっきり体育会系だと思っていたら医学部出てたのね。
でもって幻覚なオーディエンスの中から幻覚で厳格な専属トレーナーの叫び声が聞こえる。
「へこたれんじゃねぇ!ここで終わったらお前は今まで何の為に苦しい練習を耐えて来たんだ!
雨の日も、雪の日も、1日も休まず走って来たじゃないか!…ま、風の日は休んだけどさ。」
僕はその幻覚に付き合って、掛けてもいない偏光サングラスを投げ捨て、冠ってもいないズレかけたサンバイザーをキリリと直し、履いてもいないズボンとパンツを脱ぎ捨て(そこは履いてて!)走り続けて、やっとの思いでゴールした。
そんな思い出があってか、テレビでマラソンの中継を観ていると「こんな辛い想いをしてまで、なぜ人は走るんだろう」という疑問がよく浮かぶ。
走っているときの爽快感?走り終えたときの充実感?はたまた走る前の緊張感?
今でも長距離走の陸上選手はスゴいなぁと尊敬の念を抱いている。
僕はそんな疑問を陸上部出身の友達に聞いてみた。
「人はなぜ走るんだろう?」
すると彼は真剣な面持ちで答えた。
『歩くより早いからじゃん?』
冷たい新春の風が僕の前を吹き抜けた。
しかし、僕はその言葉ですっかりマラソンの魅力に取り付かれた。
(どんなきっかけ?! )
さてさて、そんな誰もを魅了してやまないマラソンやジョギング。
「流行ってるみたいだしダイエット効果もありそうだから自分も走ってみようかな」という女性も多いハズ。
最近ではオシャレなランニングウェアも沢山あり走るだけでなくファッションとしても楽しめそうですね。
そんな方にお勧めなのがこちらの一冊。
ナイキランニングアドバイザー MIDORIさん著、新星出版さんから発刊の「GIRLS RUN」。
3ヵ月でフルマラソンに完走する練習法も掲載されています。
でもって今回こちらにイラストを沢山描かせて頂きました。
いつもは案件ごとに使い分けてる2つのタッチで描いていますのでぜひ書店目指して走っちゃって下さい。
そうそう、準備体操は欠かさずに!
Ⓒイラストレーター トツカケイスケ