子供の頃、近所のスーパーでヒーローショーがありました。
当時放送されていた宇宙刑事シリーズで銀色のメタリックボディが格好いいアレです。
会場となる1Fの駐車場でショーの開始を今や遅しと待つ僕。
ワクワクドキドキのなか、進行役のお姉さんのかけ声と共に宇宙犯罪組織の輩が飛び出してきました。
僕のテンションは、成績のよい営業マンの棒グラフようにグングンと上がっていきます!
さっそく会場の僕たちチビッコに襲いかかる悪役の魔の手。
ターゲットとなり悲鳴をあげる数人のチビッコ。
すると「待てーぃ!!!」のシャウトと共に屋上の3Fから我らがヒーローの登場です。
僕のテンションはチョモランマ級です。
(表現に若干昭和の香りが…)
会場の子供たち全員の熱い視線が彼に向けられます。
が、本来なら「トウ!」とジャンプして降りて来そうなもののハシゴを伝って慎重に降りてくる彼の姿に、高ぶった僕のテンションがソビエト崩壊時の為替レートのごとく一気に下落。
まぁ、ショーとはいえ、さすがに衣装の中身は生身の人間。
仕方ないですよね。
にしても、背中を向けて降りてくる彼をしっかり待ってあげている宇宙犯罪組織もけっこう良いところあるなぁ。
きっと彼らは、過去に受けた心の傷や不器用さゆえ周りとの調和が上手にとれず、ちょっと生き方を間違えてしまっただけで
悪ぶってはいるけど、心の奥には優しさや思いやりの気持ちが残っているんだろう。
そう思うと、なんだか嬉しくて自然と涙がこぼれてきました。
だって、人生はいつでも、そして何度でもやり直せる。
どんなに遠回りしたっていいじゃないか。
だから、彼らが罪の意識と反省の気持ちを持って更正できるよう僕たちは大きな愛を持って受け止めてあげたい。
そんな気持ちにさせてくれた実りあるすばらしいショーでした。
(どんだけ悟りある幼少時代!)
Ⓒイラストレーター トツカケイスケ